『地域通貨によるコミニュティ・ドッグ』

西部忠(にしべまこと)編著 専修大学出版


国家貨幣の単一性の是認

・ケインズは人為的なもの、マルクスは自然的なもの(ただし後継者達ちより柔軟な姿勢)


マルクスの場合

・ブルードン 自由主義や

・ブレー、カード派社会主義者の経済土台変革のない自由平等主義的な通貨改革は反対だが

・オーウェン 生産、生活共同組合の変革を伴なう通貨革命には理解を示す

・フリードマンのマネタリズムも国家単一通貨を是認


例外

・オーストリア学派 ハイエク『通貨の脱国営化論』1976

 時代的制約の中で、民間企業、金融機関に限定された

・フリーバンキング論者 セルギン、ホワイト


・単一通貨ではなく、地域通貨や仮想通貨

 個々が嗜好や相手に応じ、利用する貨幣を複数選択できることで

 グローバリゼーションに起因する諸問題を解消したり、生活の質を高める


★地域通貨という総合コミュニケーションメディア

 経済メディア(媒体)

 

 地域通貨の二面性、法定通貨ととは異なる特徴

 ★お金である部分とお金ではない部分


 貨幣的側面

 ・価値尺度、交換、決済手段

 ・LETS(地域経済取引システム)など、口座方式の地域通貨では

  参加者間で相互に相殺する多角的決済   

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法定通貨、国家通貨 → 預金 / 現金 

日銀のコントロール

銀行 →企業や個人に貸出をつくることで預金通貨を創りだしている(信用創造)

現金+預金準備の合計(ハイパワードマネー)


地域通貨


・任意団体、商工会、自治体が 自由に発行

・口座保有していても利子が付かない

・国家通貨とは交換できない、地域外へ流出されない事(流通圏の制限)で

 地域内の経済安定を保ち、国家経済と独立、自立した状態である事が前提

・利子0どころか、マイナスになるものもある減少通貨(劣化通貨)

 一定期間ごと、通貨を手元に持っていることで『デマレージ(滞船料、保有税)』

・投資、消費の落ち込み → 預金=デフレスパイラル_を回避

・法定通貨より先に、使う状況が生まれ、消費が刺激される

・価値増殖機能を排除した 擬似通貨

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①人々や団体の自由発行、運用コストの共有

②限定的流通圏、国家通貨との交換不可

③無利子、デマレージ


①は経済の根本にある通貨を、

自分たちの共有物とし自分たちで制御しうることを自覚させる民主的通貨


②は不安定な国家経済から、その地域のみのエコロジカルな循環経済を形成可能


③の蓄財、利子を生まない消費は地域市場を活性化する非資本主義的貨幣


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人々をつなぎあわせる媒体としての通貨、だが、言語に近い

 グローバル資本主義、量的観点、一元的な通貨ではなく、

 質的な価値や多元性


→ただ、地域通貨は、文化的側面と経済的側面に偏るが、偏りすぎると機能しなくなる


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N・ルーマン

社会全体をコミニュケーションのオートポイエティック・システムと捉え

貨幣、真理、愛、など全体社会を 部分システムに分割(1984,1988)


地域通貨は

分割されつつあるシステムを再統合する役割

分離ではなく、統合のメディア