個人の記録、Zine は古本屋を巡る。
2012年、何月、
と撮影月をボールペンで書きこまれた表紙、自宅でプリントアウトし、本人が製本しただろう3冊セットの写真集タイプのジン。
一眼でも携帯で撮られたような感覚の当たり障りのない、後に他に見られる事を前提としない無防備で普通過ぎる写真と高品位専用紙の手触りは、
普段閉じられた他人の部屋のドアやカーテンが開いたままになっていて、そこを横切らないとならないとか、まして住人が着替えの最中である、というような感覚にさせられる。
この極度に個人的で内省的なものを、
不特定な誰かが売りにきて、不特定な誰かが買う。また手放しては、誰かの手に渡る…を繰り返しながら、いっ時、この古本屋の軒先に今ある。
中古販売はそういうものだが、この写真集の場合、モノではなく、コトのままの状態で古本屋と不特定な人の手を巡り、またそれ自体がコトや行為ではあるものの意思などが、介在しない不思議な巡回に思え、
この本は300円と本屋の値札がついているから誰かが売りにきたのだろうが、
自分もジンを作ったら、人知れず全国の古本屋の軒先の本棚に、自分のジンを勝手に差し込み続けようかとおもう。
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